アメリカ留学 2026年の制度変更まとめ
卒業後の実務研修(OPT)・在留期間・就労ビザ(H-1B)
「決まったこと」「裁判で争われていること」「検討中のこと」を区別して、留学への影響を整理する。
情報の基準日: 2026年9月27日。新しい動きがあり次第更新する
結論を先に
OPT(卒業後の実務研修制度)への10万ドル手数料案は規則案の審査中で未確定。現行の申請料のまま変わっていない。
在留期間を最長4年に固定する規則は、施行前日の9月14日に連邦地裁が差し止めた。当面は在学中ずっと滞在できる D/S のまま。
H-1B(就労ビザ)の10万ドル手数料は裁判で無効化され徴収停止中。控訴審でも再開は認められず、決着は先。
あなたへの影響。受験生・在学生・卒業間近で違う
同じニュースでも、どの段階にいるかで意味が変わる
これから出願する高校生・受験生
- 標準的な4年制の学部課程なら、D/S 廃止の直接の影響は小さい。出願準備を止める理由は現時点でない。
- 編入・専攻変更・留年で4年を超えると延長申請が必要になる。
- OPT 手数料案は未確定。「OPT があるから米国」という一点だけで進路を固めず、費用計画に不確実性を織り込む。
いま米国の大学に在学中の人
- 在学が4年を超える見込み(5年制課程・PhD・休学歴あり)なら、規則が復活した場合に備えて大学の ISSS(国際学生オフィス)に手続きの見通しを聞いておく。
- 差し止め中は従来どおり在学している限り滞在できる。ただし訴訟の結果で数ヶ月単位で状況が変わりうる。
- 手続きの相談はメールで行い、記録を残しておく。
卒業が近い人・OPT を申請予定の人
- 現行の OPT 制度は今日時点で従来どおり機能している。取得済みの許可を取り消すという発表もない。
- 手数料案が実施される場合も規則制定の手続きが要るため、即日変更は考えにくい。
- OPT は卒業90日前から申請できる。申請可能になったら先送りしないのが今年の鉄則。
いまやるべきこと4つ
個人にコントロールできるのは、情報の質と締切の管理だけ
確定情報は USCIS・DHS の公式発表だけで判断する
SNS や切り抜き動画の「もう決まった」「全員追放」は、検討段階の話を確定のように語っていることが多い。一次情報(連邦官報・USCIS)か、大学からの公式連絡だけを判断材料にする。
大学の ISSS / DSO と関係を作っておく
制度変更時に個別事情へ答えられるのは、報道でも斡旋業者でもなく自分の大学の留学生担当官(DSO)。メールでの相談履歴は手続きの証跡にもなる。
在留・就労の期限を逆算して二重管理する
I-20 の課程終了日、OPT の申請可能期間(卒業90日前〜60日後)、猶予期間。期限系は手帳とリマインダーに二重登録する。制度が動く時期ほど、締切遅れが致命傷になる。
米国一本に絞らない設計も選択肢に入れる
卒業後就労の制度はオーストラリア(Temporary Graduate ビザ)・カナダ(PGWP)・ニュージーランドにもある。米国の不確実性が高い間は、他国を併願に組み合わせるのが現実的なリスク分散になる。
OPT の10万ドル手数料は「検討段階」。決定ではない
検討中2026年7月30日報道・8月20日に規則案が審査入り
OPT(Optional Practical Training)は、F-1 ビザの留学生が卒業後に専攻関連の仕事で最長12ヶ月(STEM 専攻は+24ヶ月)働ける制度だ。2024年時点で約42万人がこの制度で就労している。
ウォール・ストリート・ジャーナルは7月30日、DHS 内部でこの OPT への参加に10万ドル(約1,500万円)の手数料を課す案が検討されていると報じた。8月20日には規則案がホワイトハウス(OMB)の審査に提出され、話は「検討」から正式な規則制定手続きへ進んだ。
ただし規則案の中身はまだ公開されておらず、審査を通っても公表と意見公募の手続きが残る。制度として何かが変わったわけではないのが今日時点の事実だ。
| 確度 | 規則案が OMB 審査中(内容非公開・未確定) |
|---|---|
| 報道された金額 | 10万ドル(約1,500万円) |
| 誰が払うのか | 学生・大学・雇用主のいずれか未定 |
| 現行の OPT 申請料 | $470(オンライン)〜 $520(郵送)で従来どおり |
| 影響しうる人数 | OPT 就労者は2024年時点で約42万人 |
| 先行事例 | H-1B の同額手数料は連邦地裁が違法判断(係争中) |
在留4年ルールは差し止め。D/S は当面続く
差し止め2026年7月17日 最終規則公表・9月14日 連邦地裁が施行を差し止め
これまで F・J ビザの留学生は Duration of Status(D/S)という枠組みで、在学している限り在留が認められてきた。DHS は7月17日、この D/S を廃止して在留期間を学位課程で最長4年、語学課程で24ヶ月に固定する最終規則を連邦官報に掲載し、施行日を9月15日とした。
8月18日、NAFSA(米国国際教育者協会)や大学団体の連合がこの規則の差し止めを求めてマサチューセッツ連邦地裁に提訴し、9月14日、裁判所は施行を全国で差し止めた。9月15日の施行は行われず、従来の D/S が続いている。
差し止めは暫定的な措置で、政権側の控訴と本案の審理が続く。規則が復活すれば、5年制課程・編入・休学・博士課程の学生に延長申請が発生する仕組みなので、該当する人は大学の留学生オフィスと動向を共有しておく。
| 確度 | 最終規則は公表済み(7月17日)だが、9月14日に連邦地裁が施行を差し止め |
|---|---|
| 現在の扱い | 従来の D/S のまま。在学中の学生が自動で4年の期限に切り替わることはない |
| 予定されていた施行日 | 2026年9月15日(差し止めにより未施行) |
| 在留期間 | 学位課程 最長4年 / 語学課程 24ヶ月 |
| 4年を超える場合 | USCIS へ在留延長(Extension of Stay)を申請 |
| 延長が認められないと | 速やかな出国義務。違反は3〜10年の再入国禁止 |
| 差し止め訴訟 | 8月18日提訴。9月14日に全国規模の暫定差し止め。政権側の控訴と本案審理が続く |
| 自分への適用 | 現時点では何も変わらない。規則が復活した場合の扱いは大学の ISSS / DSO の案内に従う |
H-1B の10万ドルは現在停止中。裁判所が違法と判断
停止中2026年6月8日 連邦地裁が無効化・控訴審へ
H-1B は米国の専門職就労ビザで、OPT を終えた留学生がキャリアを続けるための主要ルートだ。2025年9月に新規申請への10万ドル手数料が発効したが、2026年6月8日、マサチューセッツ連邦地裁が「議会の授権なき違法な課税」と判断して無効化した。
政権側は控訴したが、7月24日に控訴裁も係争中の徴収再開を認めず、USCIS は命令に従うと表明した。つまり現在この手数料は停止中で、最終的な決着は控訴審の判断待ちになる。OPT 手数料案が実施された場合も、同じ構図の法廷闘争になる可能性が高い。「発表されても、そのまま定着するとは限らない」ことをこの事例が示している。
時系列でみる。2025年9月からの流れ
2025年9月から2026年9月まで。確度は各制度の章を参照
一連の動きは、H-1B(専門職就労ビザ)への10万ドル手数料を起点に、留学生の在留管理を厳しくする流れとして続いている。出来事ごとに確度が違うので、上の制度別の章と合わせて読んでほしい。
H-1B 新規申請に10万ドル手数料の大統領布告
新規 H-1B 申請に10万ドルの支払いを義務付ける布告が発効。企業の外国人材採用コストが一変した。
ワシントンD.C. 連邦地裁は手数料を支持
米商工会議所などの訴訟で、D.C. 連邦地裁は布告を適法と判断。この時点では手数料が維持された。
マサチューセッツ連邦地裁が「違法な課税」と判断し無効化
議会の授権なき課税で行政手続法にも違反すると判断。政権側は控訴したが、控訴裁は係争中の徴収再開を認めなかった。手数料は現在停止中。
D/S(Duration of Status)廃止の最終規則を公表
DHS(国土安全保障省)が連邦官報に最終規則を掲載。2025年8月の提案から実質的な修正なしで確定した。
OPT への10万ドル手数料案が報道される
ウォール・ストリート・ジャーナルが、DHS 内で検討中と報道。ホワイトハウスは「近く発表する政策はない」としており、正式決定には至っていない。
D/S 廃止規則に差し止め訴訟(NAFSA・大学団体など)
マサチューセッツ連邦地裁に提訴。9月15日の施行を止める仮差し止めを請求した。
OPT 手数料の規則案がホワイトハウス(OMB)審査へ
DHS が規則案を行政管理予算局に提出し、正式な規則制定手続きに入った。内容は非公開で、公表・意見公募を経るまで確定しない。
連邦地裁が D/S 廃止規則の施行を全国で差し止め
施行前日に、行政手続法 705 条に基づく暫定的な差し止めを認めた。9月15日の施行は止まり、従来の D/S が続く。訴訟の本案と控訴の行方で再び動く。
よくある質問
8問。回答は2026年9月27日時点
OPT の10万ドル手数料はもう決まったのですか?
決まっていない。ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたのは DHS 内部で検討されている段階の案で、ホワイトハウスも「近く発表する政策はない」としている。学生・大学・雇用主のどこが負担するのかすら未定だ。
手数料案はいつ決まりますか?
確定的なスケジュールは公表されていない。2026年8月20日に規則案がホワイトハウス(OMB)の審査に提出されており、審査を通れば規則案の公表と意見公募が続く。つまり最短でも数ヶ月単位の手続きが残っている。
すでに OPT で働いている場合はどうなりますか?
既存の OPT 許可を取り消すという発表は現時点でない。現行制度(申請料 $470〜520)はそのまま機能している。今後の規則案が出た場合に遡及適用されるかは不明のため、公式発表を確認しつつ通常どおり就労を続けるのが妥当だ。
Duration of Status の廃止で、在学が4年を超えるとどうなりますか?
現時点では何も起きない。9月14日の差し止めで従来の D/S が続いており、在学している限り滞在できる。規則が復活すれば USCIS への在留延長(Extension of Stay)申請が必要になり、認められなければ出国義務が生じる仕組みだったので、5年制課程や博士課程の人は大学の留学生オフィスと動向を共有しておく。
すでに在学中の学生にも新しい在留ルールは適用されますか?
差し止め中は適用されない。規則が復活した場合の移行措置は個々の状況(入国時期・課程・I-20 の内容)で変わるため、そのときは大学の ISSS / DSO の案内に従う。
D/S 廃止は裁判で止まったのですか?
止まった。2026年8月18日に NAFSA や大学団体の連合が提訴し、9月14日にマサチューセッツ連邦地裁が全国規模の暫定的な差し止めを認めた。9月15日の施行は行われず、従来の D/S が続いている。ただし暫定措置なので、控訴や本案の判断で再び動く可能性がある。
H-1B の10万ドル手数料は、今は払う必要がありますか?
2026年6月8日にマサチューセッツ連邦地裁が違法と判断して無効化し、控訴裁も係争中の徴収再開を認めなかったため、現在は支払い義務がない。ただし政権側が控訴中で、2027年にかけて判断が変わる可能性は残る。
アメリカ留学をやめて他の国にすべきですか?
「やめるべき」と言える段階ではない。在留期間ルールの変更は差し止め中で、標準的な4年課程の学部留学の骨格は変わっていない。ただし卒業後就労まで見据えるなら、制度が安定しているオーストラリア・カナダ・ニュージーランドを併願に組み込む価値は高まっている。
References
参照元
-
01
The Wall Street Journal(OPT手数料案の第一報) DHS が OPT 参加への10万ドル手数料を検討と報道(2026年7月30日)
-
02
日本経済新聞 米政府、留学生の卒業後就労許可に手数料検討(2026年7月31日・日本語)
-
03
The PIE News OPT 手数料案の詳細と業界の反応(2026年7月31日)
-
04
ICEF Monitor D/S 廃止最終規則の解説(2026年7月・随時更新)
-
05
Forbes OPT 手数料案と H-1B 訴訟の経緯(2026年7月31日)
-
06
USCIS(米国移民局)公式 OPT ページ OPT の現行制度・申請手続きの一次情報
-
07
NAFSA - Legal Challenge to the Final Rule Ending Duration of Status 差し止め訴訟の経過と2026年9月14日の暫定差し止め
-
08
Bloomberg Law OPT 手数料規則案の OMB 提出(2026年8月20日)
※ 2026年9月27日 時点の情報。最新は各公式サイトでご確認ください。
制度の「いま」を知ったら、仕組みの理解へ
OPT・H-1B・F-1 ビザの恒常的な仕組みは、それぞれの完全ガイドで解説している。