NCAA(全米大学体育協会)と スポーツ留学
3 つのディビジョンの実数・競技別に続けられる確率・学業要件・2025 年の奨学金と収益分配の変更・留学生の制約
米国の大学スポーツは 2024〜25 年にルールが大きく変わった。奨学金の人数上限は消え、大学が選手に直接払えるようになり、入学同意書はなくなった。競技を続けられる確率と学業要件を NCAA の数字で押さえ、留学生だけに効く制約を書く。
情報の基準日: 2026年9月27日。加盟校数は 2025-26 年、確率は NCAA の 2022-23 年データ
結論を先に
NCAA は Division I 361 校、II 292 校、III 422 校(2025-26 年)。DI と DII はスポーツ奨学金を出せ、DIII は出せない。学生アスリートは約 52 万人。
米国の高校の選手が NCAA で競技を続ける割合は野球 8.1%(DI は 2.4%)、サッカー男子 6.1%、テニス男子 4.8%、ゴルフ女子 7.1%。全体では約 7%、DI は 2% 未満(NCAA、2022-23 年)。
DI は高校で 16 の指定科目を GPA 2.3 以上、DII は 2.2 以上。SAT/ACT は 2023 年から不要。Eligibility Center への登録料は留学生 $160。日本の高校の科目は個別に審査される。
House 和解で 2025 年 7 月 1 日から奨学金の人数上限が撤廃され、代わりに部員数の上限に。大学が選手に直接払える収益分配は年 $2,050 万が上限。DI の入学同意書(NLI)は 2024 年 10 月に廃止。
F-1 ビザの留学生はNIL(名前・肖像)収入に制約がある。就労とみなされる収入は認められず、連邦の公式指針はまだない。奨学金は受けられる。
自分はどこから読むか。競技で行きたい人・奨学金を当てにする人・保護者で違う
確率と学業要件を先に、お金の話はその後
競技で大学に行きたい高校生
- 確率を先に見る。米国の高校の選手のうち NCAA のどこかで続けられるのは約 7%、DI は 2% 未満。競技で差があり、野球 8.1%・ゴルフ女子 7.1%・サッカー女子 7.9% は高め、バスケ男子 3.6%・バレー女子 3.9% は低い。
- DI・DII で試合に出るには学業要件が要る。高校で英語 4 年・数学 3 年・理科 2 年などの 16 科目を GPA 2.3(DII は 2.2)以上。日本の高校の科目が認められるかは Eligibility Center が個別に判断する。
- コーチに自分から連絡するのが米国の標準。競技成績・動画・成績証明・英語スコアをまとめて送る。
奨学金を当てにしている人
- 2025-26 年から奨学金の人数上限がなくなり、大学は部員全員に奨学金を出せるようになった。ただし出すかどうかは大学の予算次第で、部員数には上限ができた。
- DIII はスポーツ奨学金を出せない。代わりに家計に応じた学資援助があり、留学生にも出す大学がある。
- NAIA(235 校、8 万 3 千人)は NCAA とは別の組織で、奨学金があり、入学要件は高校 GPA 2.3 など。
保護者
- 収益分配(年 $2,050 万まで)と NIL は主に DI の収益の大きい競技の話。留学生は F-1 ビザのため、就労とみなされる収入を受け取れない。
- 奨学金は書面の契約で確定する。口頭の約束(verbal commit)に拘束力はない。DI の入学同意書 NLI は 2024 年 10 月に廃止され、奨学金の書面オファーに置き換わった。
- 怪我や成績で奨学金が減額・打ち切りになる条件は契約書に書いてある。署名前に読む。
3 つのディビジョンの実数。DI 361 校、DII 292 校、DIII 422 校
NCAA とは別の NAIA も選択肢に入る
| 区分 | 加盟校 | スポーツ奨学金 | 補足 |
|---|---|---|---|
| Division I | 361 校 | スポーツ奨学金あり | 最上位。収益の大きい競技はここ。House 和解の収益分配の対象 |
| Division II | 292 校 | スポーツ奨学金あり | 学業要件は GPA 2.2。入学同意書(NLI)は継続 |
| Division III | 422 校 | スポーツ奨学金なし | 学生アスリートの約 40% が所属。家計に応じた学資援助はある。留学生はアマチュア資格の認証が必要 |
| NAIA(別組織) | 235 校 | スポーツ奨学金あり | 8 万 3 千人。入学要件は高校 GPA 2.3、または GPA 2.0・上位半分・テストのうち 2 つ |
競技別に続けられる確率。全体で約 7%、DI は 2% 未満
米国の高校の選手数に対する NCAA の選手数。日本人だけの統計はない
横にスクロールできます
| 競技 | 高校の選手 | NCAA の選手 | NCAA 全体 | うち DI |
|---|---|---|---|---|
| 野球 | 478,451 | 38,849 | 8.1% | 2.4% |
| サッカー(女子) | 377,838 | 29,959 | 7.9% | 2.7% |
| ゴルフ(女子) | 80,970 | 5,733 | 7.1% | 2.8% |
| 陸上(女子) | 486,355 | 31,475 | 6.5% | 2.8% |
| サッカー(男子) | 450,455 | 27,284 | 6.1% | 1.4% |
| ゴルフ(男子) | 150,175 | 8,602 | 5.7% | 1.9% |
| 陸上(男子) | 604,983 | 31,278 | 5.2% | 1.9% |
| テニス(男子) | 158,306 | 7,549 | 4.8% | 1.5% |
| バスケットボール(女子) | 373,366 | 16,668 | 4.5% | 1.4% |
| テニス(女子) | 191,036 | 8,343 | 4.4% | 1.5% |
| バレーボール(女子) | 470,488 | 18,569 | 3.9% | 1.2% |
| バスケットボール(男子) | 537,438 | 19,213 | 3.6% | 1.0% |
高校の数字は米国の高校体育連盟の 2022-23 年の参加者調査で、クラブチームだけの選手は含まない。テニスやアイスホッケーのようにクラブ中心の競技は、実際の割合がこれより低いと NCAA 自身が注記している。
学業要件と登録。16 科目・GPA 2.3、SAT は不要
要件を満たさないと 1 年目に練習・試合・奨学金の対象にならない
| 指定科目(DI) | 16 科目。英語 4 年、数学(代数 I 以上)3 年、理科 2 年、英語・数学・理科の追加 1 年、社会 2 年、追加 4 年(外国語など) |
|---|---|
| 指定科目(DII) | 16 科目。英語 3 年、数学 2 年、理科 2 年、英語・数学・理科の追加 3 年、社会 2 年、追加 4 年 |
| GPA | 指定科目だけで計算した GPA が DI 2.3 以上、DII 2.2 以上 |
| 進度(DI) | 16 科目のうち 10 科目(うち英語・数学・理科 7 科目)を高校最終学年の前までに終える |
| SAT・ACT | 2023-24 年入学から不要(DI・DII とも恒久的に撤廃)。大学の入試で要求されることはある |
| 日本の高校 | 科目の対応は Eligibility Center が国別基準で個別に審査。英文の成績証明書を早めに提出する |
| 登録 | eligibilitycenter.org で登録。DI・DII 向けの学業+アマチュア認証は留学生 $160。DIII に進む留学生はアマチュア認証のみ($75)が必要。NCAA は高校入学前の登録を勧めている |
| アマチュア資格 | プロ契約、賞金、報酬を伴う競技歴は審査対象。国際大会の経費補助など認められる範囲は Eligibility Center が判断する |
奨学金と 2025 年の変更。人数上限の撤廃と年 $2,050 万の収益分配
House 和解(2025 年 7 月 1 日発効)で仕組みが変わった
| 奨学金の上限 | 2025-26 年から競技ごとの奨学金の人数・口数の上限が撤廃。部員全員に全額を出すことも制度上は可能になった。代わりに競技ごとの部員数(roster)の上限が設けられた |
|---|---|
| 収益分配 | House 和解により 2025 年 7 月 1 日から大学が選手に直接支払える。上限は 2025-26 年で年 $2,050 万(大学あたり)。自治 5 カンファレンスは参加必須、他の DI 校は選択制 |
| NIL | 名前・肖像・氏名の使用料。2021 年から選手個人が受け取れる。大学からの直接支払いは収益分配の枠内で管理される |
| 入学同意書(NLI) | DI は 2024 年 10 月 9 日に廃止され、奨学金の書面オファーが拘束力を持つ文書になった。DII は継続 |
| DIII | スポーツ奨学金は不可。家計に応じた学資援助と成績による奨学金は出せる |
| 併用 | スポーツ奨学金と成績・家計による援助は併用できる。合計は大学の定める費用の範囲まで |
留学生の制約。F-1 ビザと NIL 収入
奨学金は受けられる。お金をもらう形に制限がある
| ビザ | F-1(学生ビザ)。奨学金の受給は問題ない |
|---|---|
| NIL 収入 | F-1 は米国内での就労が制限される。NIL の多くは就労収入とみなされ、留学生は受け取れないと解釈されている。連邦(DHS・USCIS)の公式指針は 2025 年時点で出ていない |
| 受け取れる形 | 受動的な収入(グループライセンスの分配など)や、米国外で行う活動への対価は認められる余地があるとされるが、大学と移民弁護士の確認が要る |
| 収益分配 | House 和解の分配も同じ問題を抱える。大学によって留学生への扱いが違う |
| 英語 | NCAA の要件ではなく、大学の入試要件。TOEFL の新スコアや IELTS の最低点は大学ごとに確認する |
| 卒業後 | OPT は 12 ヶ月(STEM 指定の専攻なら 36 ヶ月)。プロ契約には別のビザが要る |
高 1 から入学までの手順。登録は早く、連絡は自分から
NCAA は高校入学前の登録を勧めている
Eligibility Center に登録、科目の確認
NCAA は高校入学前の登録を勧めている。日本の高校の科目が 16 科目にどう対応するかを早めに審査してもらう。
競技成績と動画、英語
大会成績・記録・身長体重・ポジションをまとめた英語の競技履歴と、3〜5 分の動画を作る。TOEFL か IELTS は大学の入試要件なので並行して準備する。
コーチに連絡
志望大学の競技部のページからコーチの連絡先を調べ、個別に送る。返信率は低いのが普通なので、DI・DII・DIII・NAIA を混ぜて多くに送る。
訪問とオファー
コーチの招待で大学を訪問する。オファーは口頭では確定しない。奨学金の額・年数・減額条件が書かれた書面を確認する。
出願と学業要件の確定
大学の入試(成績・エッセイ・英語)に別途出願する。Eligibility Center に最終成績と卒業証明を送る。
アマチュア認証と初年度の資格
認証が済んでいないと練習・試合・奨学金の対象にならない。留学生は F-1 の就労制限を大学のコンプライアンス担当と確認する。
よくある質問
8 問。回答は2026年9月27日時点
NCAA の Division I・II・III は何が違いますか?
2025-26 年で DI が 361 校、DII が 292 校、DIII が 422 校。DI と DII はスポーツ奨学金を出せ、DIII は出せない。競技レベルは DI が最も高く、収益分配や NIL の話は主に DI。DIII は学生アスリートの約 40% が所属し、家計に応じた学資援助はある。
日本の高校生が NCAA で競技を続けられる確率は?
日本人だけの統計はない。米国の高校の選手が NCAA のどこかで続けられる割合は競技で違い、野球 8.1%(DI 2.4%)、サッカー女子 7.9%、ゴルフ女子 7.1%、サッカー男子 6.1%、テニス男子 4.8%、バスケ男子 3.6%(NCAA、2022-23 年)。全体では約 7%、DI は 2% 未満。
スポーツ奨学金は留学生も受けられますか?
受けられる。2025-26 年から奨学金の人数上限がなくなり、大学は部員全員に出せるようになったが、出すかどうかと額は大学の予算次第。DIII はスポーツ奨学金を出せない。書面の契約で確定し、口頭の約束に拘束力はない。
学業の要件は何ですか?
DI は高校で 16 の指定科目(英語 4 年、数学 3 年、理科 2 年、社会 2 年など)を GPA 2.3 以上、DII は 2.2 以上。SAT/ACT は 2023 年から不要になった。日本の高校の科目が認められるかは Eligibility Center が個別に審査する。要件を満たさないと 1 年目に練習・試合・奨学金の対象にならない。
Eligibility Center の登録はいつ、いくらですか?
NCAA は高校入学前の登録を勧めている。DI・DII 向けの学業+アマチュア認証は留学生 $160、DIII に進む留学生に必要なアマチュア認証のみは $75。
2025 年に何が変わりましたか?
House 和解で 2025 年 7 月 1 日から、大学が選手に直接収益を分配できるようになった(上限は年 $2,050 万)。競技ごとの奨学金の人数上限が撤廃され、部員数の上限に置き換わった。DI の入学同意書 NLI は 2024 年 10 月に廃止され、奨学金の書面オファーが拘束力を持つ。
留学生は NIL でお金をもらえますか?
制約がある。F-1 ビザは米国内での就労を制限し、NIL の多くは就労収入とみなされる。連邦の公式指針はまだなく、受動的な収入や米国外での活動なら認められる余地があるとされる。契約前に大学と移民弁護士に確認する。
NAIA とは何ですか?
NCAA とは別の大学スポーツ組織で、235 校・8 万 3 千人(2025-26 年)。スポーツ奨学金があり、入学要件は高校 GPA 2.3、または GPA 2.0・クラス上位半分・テスト(ACT 18 か SAT 970)のうち 2 つ。NCAA より小規模だが、留学生の受け入れは多い。
References
参照元
-
01
NCAA - Division I Member Schools ディビジョン別の加盟校数
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02
NCAA - Guide for the College-Bound Student-Athlete 2025-26 学業要件・登録・アマチュア資格の公式ガイド
-
03
NCAA - Division I Initial Eligibility Requirements 16 科目、GPA 2.3、10/7 ルール
-
04
NCAA - Division II Initial Eligibility Requirements 16 科目、GPA 2.2
-
05
NCAA Eligibility Center - FAQ for International Student-Athletes 登録料 $160、DIII のアマチュア認証
- 06
-
07
NCAA - Question and Answer: Implementation of the House Settlement(2025 年 6 月) 収益分配の上限 $2,050 万、部員数上限
- 08
- 09
-
10
NAIA - Financial Aid NAIA の奨学金
-
11
NAIA - Freshmen Initial Eligibility GPA 2.3 または 2 つの基準
※ 2026年9月27日 時点の情報。最新は各公式サイトでご確認ください。
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